北陸Regionダンスフェスティバル2024

北陸Regionダンスフェスティバル2024

事業について

[概要]

北陸初の公募型アーティストinレジデンス及びフェスティバル。全国から実力あるアーティストを公募/ 選考を経て採択し、石川県の「各地域」に招聘する。
地方のオルタナティブスペースを活用した公演を行う事で多様な表現を地域住民が気軽に見られる場を作り、アーティストの開催するワークショプによってアートの地域への普及促進を行う。
特に、コロナ禍の収束により文化芸術活動や観光産業復興が盛んになる中で、これまで注目されていなかった田舎にスポットを当て、アーティストと地域住民が協働で地域の発展及びコミュニティの活性化に臨む場を作る。
それら活動の全てをWebサイトやSNSによって配信する事で、北陸や石川の今まで知られていなかった魅力を世界に発信したい。

[詳細]

  • 全国よりレジデントアーティストを募り、石川県の地域【能美市・金石】に招聘し、約一週間現地に滞在しながら地域のオルタナティブスペースを活用した滞在制作を行った。
  • アーティストの選定及び採択は、それぞれの地域にゆかりのある人々の意見を交えて行われた。
  • 滞在先ごとに地域にゆかりのある人々にサポートを依頼し、また地元アーティストとの作品の共同制作を行う他、その地域の住民との関わりや集客、空間の活用について協働で模索した。
  • アーティストは滞在中に現地でのアウトリーチやワークショップを開催し地域住民と関わる活動を行った。
  • 滞在中に成果発表として公演を行い、また終演後にはアーティストと人々の交流の場を設けた。
  • アーティストがその地域において行った活動を通して得られた感想、意見意見を交換する「報告会」を行った。
  • 事業終了後、アウトリーチの様子や公演の映像を無料配信し、石川県及び北陸地方の新たな魅力として全国・世界に向けて発信している。

[事業実施スケジュール]

  • 2023年12月 滞在場所/サポートアーティスト決定、技術スタッフ確保
  • 2024年1月20日~3月3日  滞在アーティスト募集
  • 3月中旬 招聘アーティスト決定
  • 4月中 スタッフ打合せ・アーティストとの打合せ
  • 5月 公演チケット等販売開始
  • 6月 プレスリリース等発信
  • 7月 北陸Regionダンスフェスティバル2024実施
  • 8~9月 映像編集・オンライン配信、事業報告書の作成

[事業の目的]

本活動の目的は、日本全国から多様な表現のオリジナリティを持つアーティストを県内各地に招き、コンテンポラ リーダンスにより北陸と全国をつなぐと共に、アーティストが地域の人々と関わりながら地域コミュニティの活性化を行い、人々がダンスに触れることにより心身の健康促進を図り、公演によってこれまでその地域を訪れることのなかった来訪者・観客を呼び込み観光や地域振興の活性化に繋げることである。
そしてコンテンポラリーダンスを含むアートを取り巻く社会背景について、地域住民とアーティストが共に考える場を創りたい。
また、アーティストに自然の中や古民家など従来の劇場公演と違った創造的な表現の機会を提供し、オルタナティブスペースとして活用してもらう事で、創造的な場としての地方の可能性の開拓を行う。
コロナ禍が収束し、今後、文化芸術の発展や観光産業復興が速度を上げていく中で、石川県及び北陸地方のあまり知
られていなかった田舎の土地を、アートと地域の人々の力で活性化し、それを発信する事で新たな可能性の風を巻き起こすことを目指す。

[主催団体「北陸つなげて広げるプロジェクト」経歴]      

2015年北陸新幹線開通を機に発足、貴財団の助成によりIshikawa Dance Festivalを開催。
以降”アーティストと市民”が主体となり、「北陸地方唯一のコンテンポラリーダンスフェスティバル」として毎年ダンスフェスティバルを継続開催している。
これまで多数の新進気鋭の若手ダンサーや、北陸にゆかりがあり海外でも活躍するアーティストを石川県に招き、合計約80組のアーティストが金沢で作品上演を行った。
その他、コンテンポラリーダンスを知るためのレクチャーや市民参加型の作品の上演を企画し、市民がより舞台芸術を身近に親しむことが出来る機会を作って来た。また、コロナ禍において、無観客ライブ配信の実施や、感染予防に努めつつ鑑賞の新様式に取り組みながら事業を継続し、石川県の舞台芸術の火をを絶やさず、その発展へ貢献してきた自負がある。
本年度11月には貴財団の助成を受け、通算9回目となるダンスフェスティバル事業開催を予定しているが、コロナ禍が明け全国の舞台芸術活動が活性化したことや、百万石文化祭開催の後押しもあり、上演作品公募は過去最高の応募数となった。この勢いを保ちながら、北陸の舞台芸術の再興に向けて今後とも努力したい。
新型コロナウィルスの影響を受けたものの、継続開催とコロナ収束の流れにより着実に、コンテンポラリーダンスを含む舞台芸術と市民の距離は縮まってきている。一方で、継続故に多くの可能性とともに課題も見えてきた。今後ともアーティストと協働する市民とのつながりを深めながら、この可能性の実現・課題解決に取り組み、事業を通して全国のアーティストに呼びかけ、アートと地方創生の関わりについて共に考え、県内外の文化芸術の輪の広がりと繋がりを強化してゆきたい。

[新事業起案に至った理由・課題]

当団体は2015年の北陸新幹線開通より毎年ダンスフェスティバル事業を開催し、コンテンポラリーダンスにより北陸と全国をつなぐ窓をとなって来た。また、継続することで劇場を訪れる観客の見る目は深まり、アーティストと市民との交流も盛んになり、石川県金沢市及び北陸地方の魅力発信にも効果があった。
しかしながら石川県内におけるコンテンポラリーダンスの認知度は金沢の中心地と舞台芸術やアートに関わる人々へのみ広がり、多くの人々にとってはまだまだ関わる事の無いもののままである。
ダンスフェスティバル事業の継続により着実に成果を残してきた事は確かだが、まだまだコンテンポラリーダンスの可能性を生かしきれていない面もある。
全国的にはコンテンポラリーダンスの需要は高まり、テレビ等のメディアでも見られることが多くなった。しかし、エンターテイメントに留まらないコンテンポラリーダンスの可能性を、これまで舞台芸術を含むアートに触れる機会のなかった人々に身近に感じてもらえる形を模索していく必要がある。コンテンポラリーダンスを人々に伝えることで、文化の多様性と豊かさの促進、創造性と表現力の育成、コミュニティの活性化、身体的な健康の促進、観光や地域振興の活性化など、多くの役割を果たすことができるからだ。
その為にもアーティストが地域住民と距離を縮め、お互いを尊重しながら直接関わり合える環境を作り、そこから生まれる新たな経験をシェアする環境を作ること、これが現在の課題に向き合う方法だと考えた。

Aチーム:活赤丸急上昇

滞在場所:アトリエGIMOTO(能美市)


”笑いは力”そう信じる二人が醸し出す赤丸ワールド。複雑怪奇な世の中だからこそシンプルに人の心に伝わるダンスを求めて活動中。山育ちの赤松美智代+海育ちの丸山陽子、対照的な二人は性格も好きなものも正反対。そんな二人がバトルしながら絶妙な感覚で生み出す世界は、単純・明快だけどなぜか心温まり、一度味わうとくせになる。これまで に、 America・Asia等、国内外30都市以上で作品を上演してきた。


Bチーム:私道かぴ


滞在場所:金石町家(仮)(金沢市金石)


作家、演出家、アーティスト。京都を拠点に活動する団体「安住の地」所属。身体性を強く意識した演出と、各地に実際に滞在し聞いた話を基に作品をつくる。近年はお祭りや養蚕、流域や団地など土地とつながりの深いテーマで制作している。2023年度 ACYアーティスト・フェロー。

総評

黒澤    伸
(金沢芸術創造財団/アーツカウンシル金沢・統括ディレクター)

2024年度より、金沢芸術創造財団ではアーツカウンシル(中間支援)事業の助成プログラムの一つとして、新たに『交流滞在支援』をスタートさせている。県外のアーティスト等が一定期間地域に “滞在して活動する” 場合にその交通費や宿泊滞在費用の一部を助成するというものだ。公演や展覧会など、単純にイベントの開催を求めるものではなく、この支援プログラムが期待しているのは、そこへ至るプロセス、その中で人と人が出逢い、交流が生まれ、その経験の蓄積がまた次の展開につながること。人と人の “かかわりしろ” を重視したリサーチや発表を支援すると同時に、地域の中に活動のサポートができる世話役が生まれてくることにも期待して、招聘活動を行うコーディネーターからの申請を受け付けている。そして今回の「北陸回Regionダンスフェスティバル2024」は、モデル事業といって良いほどこの期待にピッタリと一致する内容のものだった。
主催者の招聘に応募、審査で選ばれたのは私道かぴさんと赤丸急上昇さん。劇作・演出家、と、コンテンポラリーダンスユニットというようにジャンルは異なるが、それぞれが地域やそこにいる人々・環境と関わりながら、場の出来事をかなりビビッド(生のまま)に物語にする、あるいは反応するかのごとく振る舞いや動きに仕立ててゆく。そこに見えてくるものは、先ほどの “かかわりそのもの” だ。そしてその関わりの中に、場の誰もが溶け合うように入り込んでくる。今回、金石と能美の2箇所に、そのような空間が立ち上がった。
もともと表現にはこのような、環境を映し出す・皆が溶け合うという性格はあるにしても、あらためてそのことをまざまざと見た気がする。それぞれの場のコーディネーションも大変うまく機能していたように思われ、何より、関わった皆さんが楽しそうだったし、そこに “いる” 自分自身もそうだった。
私道かぴさんが現地入りした初日、私道さんによる取材・インタビューの様子を見学させていただいた。金石・妙覚寺のご住職から聞く「金石レシピ」の話の中に、醤油のみの出汁というか100%醤油を煮汁にして魚を煮付けるというものがあった。煮汁が濃いので、煮立ったところに魚を入れてもう一度煮立ったら引き上げる超時短調理。実際に料理そのもの拝見したのだが、表面は醤油で色づき、中はホクホクの白身という感じで、自分ではこのレシピを”煮魚界の焼きおにぎり”と覚えることにした。こうした一つ一つの話が紡がれ、作品として編まれてゆくその中には、同じ話を聞い
ていた自分もそのどこかにいる・・・金石の物語は、金石ではない場所の、人の、物語にもなる。一方で、赤丸急上昇さんが能美市の小学校で行なったワーウショップを見学して驚きだったのは、子どもたちのあまりにストレートでムチャクチャ全力感ある反応だった。それぞれの学校特有の雰囲気や特性もあるのだろうが、これは都会では見られないものだと感じた。そうした環境が人の行動や場作りに与える影響の大きさは言うまでもない・・・同時にアーティストの作法に対しても。
赤丸急上昇のお二人もそうした全てを飲み込みながら、かくして四国からやってきた二人に能美の身体が生じる。そしてその身体は、今回、誓立寺という寺の本堂で真っ白い鹿に化けたのだった。『鹿の子』呼ばれる郷里の伝統を知る二人が、その祖先であるらしい岩手の『鹿踊り』に出会ったことをきっかけに、これまでどこにもいなかった二頭の鹿として生まれてきたものだ。いや、鹿なのだろうか? 彼らの舞に、何か、見てはいけないものを覗き見してしまっているような感覚を覚える・・・人間ではない何者かが、そのものたちの作法で何かにへ向けて舞っている・・・だから
それは観客に見せる所謂ダンスなどではなく、草花や虫たち、動物たちへ、あるいは大地や空や風や宇宙へと・・・そのように、彼らのいる世界に向けられたものなのだろう。自分の知っていたはずの世界に、これまで気づいていなかった別な世界が覆い被さってきた。私に何が起こったのだろう。いずれにせよそれは衝撃的だった。
・・・かかわりの経験、とは、かくも輪郭が捉え難く、一人一人に異なるもので、かつ結果が予め約束されてはいないオープンエンドなものだ。今回、プログラムの一部に関わった私に生じた上記の経験自体はその中の一つで、他の 方々を含めた、つまり関わりの経験の全体はさらに複雑な輪郭を持っているだろうし、アメーバのように周囲と溶け合いながら今後も生き続けるに違いない。『交流滞在支援』助成プログラムの採択にあたってその基準を訊かれることがある。滞在日数や対象者の属性などの説明もするが、より解り安く言うならば「招聘者がどのくらい新しくお友達を作って帰ることが出来るか」が評価のバロメーター・・・と回答している。関係の密度は色々あれども、こうした地道なネットワークの積み重なりが、将来、地域をより豊かなものにする、と、シンプルに確信している。

乗越 たかお
(舞台評論家・作家/北陸Regionダンスフェスティバル公認アドバイザー)

Aチームについては、いろいろな出会いがあり素晴らしいと思います。AIRは、地元の人と出会って何かを作っていくことが重要です。しかしそれだけではなく、それまで地域のみなさんの生活の中に無かったものを滞在するアーティストが持ち込み、新しい価値観と出会うことが、このフェスティバルの意義だと思います。それはもちろん、その土地の歴史や文化や人々に触れるアーティストにとっても大きな財産となるでしょう。なにより、子ども達がアーティストと出会うことで「こんな変な大人がいるんだ、いてもいいんだ」という世界の多様性を実感できることがきわめて重要です。以前、保育園の教育にコンテンポラリーダンスを取り入れている園長先生に話を聞いたことがあるのですが、「子どもの発想は本来ものすごく多様で制限のない可能性に満ちたもの。しかし大人はそれをある方向に矯正してしまいがちである。しかしコンテンポラリーのアーティストは子どもの無軌道な発想をそのまま受け止めることができる。だからアーティストに来てもらっているのです」と語っていました。
アートにはそういう力があります。まして一定期間地域に滞在して暮らし、住民と同じ空気を吸って生活を共にしたアーティストの作品は、同じパフォーマンスでも観客への「入ってき方」が違う。地のものを食べて地のお風呂に入り、地の子どもに出会い、地の大人に出会い、パフォーマンスを共有する。本当に良いと思いました。
Bチームについて、私道さんの脚本はその土地を知ってもらうためのツールとして観光やその他役に立ちそうで、良い成果物ができたと思います。「アーティストがその土地の人々のことを知ろうとする」というAIRの第一の目的を超え て、「アーティストの成果物が、さらに多くの人が土地の歴史や文化を知るきっかけになる」なら、これは素晴らしいことです。土地の人も、話すことによって自分の認識が言語化され整理され、地元の魅力を再認識することにもなります。それはアーティストという「異物」が入ることで新しい視点が持ち込まれコミュニティが活性化し再発展してく契機となる。AIRのいいところです。
このAIR型フィスティバルには希望を感じています。やはりどの分野でも「文化は交わる時が面白い」からです。長く継承され切磋琢磨してきた文化が、別の文化とクロスする時に、かつてなかい輝きを放つ。あらゆる分野のアートはそうやって進化してきました。もっとも最近の若い人は、ネット動画を見て「これやばいよね」と言っているだけで、何かをやっている様な気になったりする。ダンスなのに身体性が希薄になっている面が現代にはあります。その中で大事なのは英語の”Move”という言葉です。この単語には「身体を動かす」という意味もありますが、「引っ越す=身体ごと動かす」という意味もある。その意味で北陸Regionダンスフェスティバルは、北陸に引っ越して(Move)、身体を動かして(Move)作品を作  る、という両方を内包したフェスと言えるでしょう。
北陸は100年に一度の大地震に見舞われたつらい時期ですが、この状況に遭遇したアーティストが何をするのかが問われます。クリエーション環境の確保や態度はもちろんですが、災害をアートで消費してしまうことなく、人と人が出会い、この状況に取り組むことは、アートの根幹を問うことになるでしょう。北陸Regionダンスフェスティバルは、それだけの深い重要性を担った、希有なフェスなのだと思っています。
私は今後ともアドバイザーとして協力していきたいですし、期待しています。また様々に発展する可能性を感じています。今回はとても手探りな状態だったとは思いますが、みなさんのクリエーションの力で突破して貰えて感謝しています。

[事業をを終えて]
宝栄 美希(北陸Regionダンスフェスティバル芸術監督/企画代表)

私道かぴさんの日記にもあったように「演劇(ダンス)を見たいとも思っていない」人が地域では大半だと思います。私たちのやっていることを「人々は(生活の中で)必要としていない」ということは長年向き合ってきた変えられない事実 です。その事実は新型コロナウィルスの流行によってより顕著に表れ、私たちに突きつけられました。生きるためには無くても構わないものなので、自分とは関係ない・関わる必要がないと思っている、それが地方の田舎では当たり前のように思います。そのような場所で私たちは何をすべきか・何ができるかを考え続けてきた結果、このAIR型フェスティバルの企画に至りました。
このAIRフェスティバルの前身である北陸ダンスフェスティバルでは、コンテンポラリーダンスの面白さを人々に伝えるため、人々に劇場に足を運んでもらうことを前提にして来ましたが、そのやり方では地域に住む”自分とは関係ない・関わる必要がない”と思っている人々には伝わる可能性どころか、目に触れることさえないのだと、前フェスティバル事業を通して実感しました。そして今回、事業の内容を一新し、アーティストに地域に滞在しながら活動してもらうことで、人々を劇場に呼ぶのではなくこちらから地域に出向いて行き、舞台を観るよりも近い距離で人々とアーティストが関わる機会を作りました。
今回招聘したアーティストの2組には、現地で何をするか、どの様に地域の人々と関わるかをこちらから提示せず、それぞれに考えてもらい、現地サポーターと相談しながら事前準備を進めていきました。また、こちらの用意する滞在期間が1週間と、一般的なAIRプログラムに比べて短いこともあり、成果発表においてはその時点で未完成なものや実験的なものでも構わないこととし、その地域でのAIRによって”何かの始まりが生まれるきっかけ”を作ってもらうことを
目的としました。その様にアーティストに自発的に活動を行ってもらう中で、赤丸急上昇のお二人には「生きている」ことをAIRする中で感じることができたと言っていただきました。私道かぴさんは「その上でこういう人間が何をしたらちょっとは役に立つだろうか。」と考えて活動してくれました。
アーティストも表現活動をしない人々も生きていることは同じであり、人と人との相互関係なくしては社会は成り立ちません。現時点では交わる可能性のなかった人々が、お互いの間にある壁を壊して関わり合うことは、双方の発展と、全ての人が生きやすい社会を築くことにつながります。元々関係のなかった人々をつなげることがこの事業の役割であり、新しい挑戦です。
北陸Regionダンスフェスティバル2024を終えて、沢山の収穫を得られ、また課題にもぶつかりました。両チームとも、アウトリーチでは地域の人々とアーティスト本人の相互に得られるものが多く、AIR型フェスティバルを行った成果がありました。関わった人々の心が動く場面をいくつも目撃し、また地域で創作活動を行う意義も証明されました。課題となったのは、アウトリーチが成果発表公演の集客に結びつかないことでした。劇場ではない場所(お寺やコミュニ    ティースペース)で行った成果発表公演には、アウトリーチでアーティストと関わった人々はほとんど足を運びませんでした。そこにはアーティストの力量等に関わらない別の壁がある様に思えました。また、フェスティバルを終えた後も、アーティストの皆さんが残してくれたものを活用し、地域の発展につなげることが私たちの継続的な課題でもあり、義務でもあります。
今後取り組んでいくべきこれらの課題において、どちらか一方を変えるために働きかけるのではなく、双方が変わっていく方法を考えることが必要だろうと考えています。またそのあり方や考え方を変えて行かねばならないと、今回の事業実施を終えて思いました。

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